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32.「安達の信任状奉呈とポンテュとの出会い」

鈴 木  勝

 戦場の危機を無事乗り越え、ベルギー国王の疎開先であるバンヌに、ようやくたどり着いた安達は、アルベール一世国王に信任状を奉呈した。国王から労いの言葉と親しく歓談する時間を賜った。ル・アーブルの仮日本公使館に戻った安達は、早速、山中臨時公使、武者小路参事官らと会議に入った。安達が最初に考えたのは、日本とベルギーの関係改善、とりわけ戦争で休眠中の「日本・ベルギー研究会」の復活であった。会議で了解を得ると、安達はベルギー外務省を尋ねて精力的に趣意を述べ、協力を要請した。そんなある日、「ベルギー・日本研究会」の創設者の一人で、後年、陸軍中将を務めるラウル・ポンテュの許に、外務大臣から安達公使を紹介する一通の書簡が届けられた。早速、関係機関を通じて安達を照会したポンテュは、彼が国際的に傑出した外交官であることを初めて知るのであった。ポンテュと安達の出会いの瞬間である。



 
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